
アメリカ合衆国のエクスペリメンタルバンド。1982年マイケル・ジラにより結成。1980年代初頭にニューヨークで起こったノー・ウェイヴ・シーンで台頭した。
1997年に解散し、2010年に再始動。2016年には現メンバーでのスタイルを解散し、流動的なスタイルへと明言した。
スタジオアルバム15枚、ライブアルバム9枚、クラウドファンディングにて枚数限定で製作されたライブアルバムが5枚 EP11枚 Single17枚、更にリイシュー盤も精力的に発売している
Swansの歴史
1982年結成 1st EP 『Swans』
1983年1st Album 『Filth』それぞれグレンブランカのNeutral Recordsよりリリース
1984年2nd Album 『Cop』をK.422.、ヨーロッパではSome Bizzare Recordsからリリース、各メディアは絶賛したようだ。
1989年にはメジャーレーベルUni Recordsへと移籍し『The Burning World』をリリース。過去作とは一転したメロディフルで美しいアシッドフォークを奏でたが(ジラはプロデューサーは好いていたがあまり噛み合わなかったよう。また窮屈で単調な方法は合わなかったと振り返っている)今作のみでメジャーからは離脱し翌年には独自レーベルYoung God Recordsを設立している。
1995年 Michael Gira ソロ名義の『Drainland』リリース
1997年解散
自分たちがやりたいこととバンドのパブリック・イメージとのズレが原因であり、そのストレスが限界に達し「スワンズという名前が活動を続けていく上で重荷(burden)になった」ことが解散理由
様々なレコードレーベルに対してもフラストレーションが溜まっていたよう
2010年 再始動 14年ぶりのアルバム『My Father Will Guide Me up a Rope to the Sky』リリース
2012年には『The Seer』
2014年『To Be Kind』
2016年『The Glowing Man』ツアーを以て現体制を解散と発表
2019年『Leaving Meaning』外部から多数のミュージシャンが参加。
「2010 年~17 年、スワンズとして活動を共にしていたメンバーが解散して以降、初めてのアルバムだ。新たなメンバーで、それぞれの音楽や思考を考え、私の曲の雰囲気にフィットするメンバーを選んで、性格や技術や嗜好を消さないようまとめあげている。メンバー全員の仕事は素晴らしかった。彼らとの一緒の時間をすごく楽しんでいるよ。そんな中でも、ベン(・フロスト)の挑戦的なサウンド・アプローチは、今まで見たことのない素晴らしいもので私にとっては嬉しい驚きだったよ。時に耳をつんざくような強烈なサウンドを、時に極めて繊細でとても美しい音楽的なサウンドを響かせていたよ。アレンジやミックスにもベンはアイデアを出してくれてすごく助けてくれたんだ。」と発言している
2022年にはホームレコーディングの”Is There Really A Mind”をクラウドファンディングにてリリース。次期アルバムの準備段階に突入している。

来日は4度果たしており
Joy DivisionのLove Will Tear Us Apartカバーで日本人のファンが増えたことにより1991年初来日
2011年3月15日 東京・渋谷CLUB QUATTRO
17日 大阪・心斎橋CLUB QUATTROを予定していたが東日本震災により中止
2013年2月19日 代官山UNITにて22年ぶりの来日を果たす(限定400人)
2015年1月27日 Shibuya TSUTAYA O-EAST
2015年1月28日 Umeda CLUB QUATTRO
2016年12月7日 TSUTAYA O-EAST
2016年12月8日 梅田CLUB QUATTRO
メンバー

マイケル・ジラ (Michael Gira) – ギター、ボーカル (1982年-1997年、2010年-)
1954年LA生まれ。アイオワ出身の母親はアル中だったよう。そんなこともあり父親とドイツへ。その後海外放浪(大麻を売り逮捕され四ヶ月半エルサレムの大人の刑務所に入っていたようだ。殺人をしたことがあるとの記事を読んだことがあるが真意不明)に身を投じたヒッピー少年時代を経て、17歳時には自国に戻りLAのアート校オーティス・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインに入学(Sonic Youthのキムゴードンとは同級生)。
ドローイング、ヴィデオ・アートやパフォーマンスに向かった彼は、パンクのDIYエソスに触発されLAアングラ界(ジャームス、スクリーマーズ、X他)の周縁でファンジンやバンド活動(Little Cripples )に手を染める。シーンのファッション化に違和感を覚え1979年にNYCに移りCircus Mortというスワンズの前身バンドを始める(ラボールからシングル1枚)
幼い頃にはドアーズなどを好んで聴いていたようでハウリンウルフの大ファンでもあり自伝を読み返しているそう。
1982~1997年までSwansとして10枚のアルバムを発表した
スワンズ活動停止以降、コラボ(ウィンザー・フォー・ザ・ダービーのダン・マッツとの『ホワット・ウィ・ディド』)
ソロ名義Angels of Light (13年程活動)
The Body Lovers / The Body Haters ,
ジャーボーとのSkin ,World of Skin
1990年に設立したYoung God Records ヤング・ゴッド・レコーズ運営やプロデュース業(USメイプル、ウラン・バートル、キャラ等)
1995年には短編小説The Consumer 発表
次作は2016年過ぎに書かれ2018年発表のThe Egg (2500部限定でサイン入りだったよう)も平行し精力的に活動している
使用楽器
Gibson B.B King Lucille
Guild True American dc-1e nt
Guild OM-240CE
Roland JC-120 Jazz Chorus
Orange Thunderverb 200-Watt Tube Guitar Amp Head
Orange Overdrive OD120
Orange PPC412 Guitar Speaker Cabinet
オレンジアンプの公式サイトで使用レビューをしている。
各ツアーでは同じ機材を揃えることが難しいためMesa BoogieやMarshallを使用していることもある。
クリストフ・ハーン (Christoph Hahn) – ギター、ラップ・スティール・ギター (1988年-1991年、2010年-2017年、2019年-) ソロ
ヴィンテージのリッケンバッカーラップティールを使用している。自慢だが私はインスタ相互フォローである。
ベルリン在住
ソー・ハリス (Thor Harris) – ドラム、パーカッション、ヴィブラフォン、ダルシマー、キーボード (2010年-2016年、2017年、2019年-) Thor and Friendsというバンドもやっている。そちらのバンドを優先するため一時期Swansを離脱していた。(場所によっては参加していたライブもある)
クリス・プラヴディカ (Chris Pravdica)– ベース (2010年-2017年、2019年-)
フィル・プレオ (Phil Puleo) -ドラム、パーカッション、ダルシマー (1995年-1997年、2010年-2017年、2019年-) 絵や写真を好み、スワンズの写真集を発表したりもした。コップ・シュート・コップというバンドのメンバー
ポール・ウォールフィッシュ (Paul Wallfisch) – キーボード (2016年-2017年、2019年-)
ノーマン・ウエストバーグ (Norman Westberg) – ギター、ボーカル (1983年-1995年、2010年-2017年、2019年-) リディア・ランチ/J.G. サールウェル(ジム・フィータス/クリント・ルーイン)とも親交がある。ソニック・ユース×リディアの“デス・ヴァレー ’69”のPVを監督した写真家リチャード・カーンのアングラ映画『ザ・ライト・サイド・オブ・マイ・ブレイン』(1985年)にもカメオ出演している。2015年から13、21年にはFirst Man in the Moonとソロ作品も精力的にリリースを行なっている。
使用機材はハムバッカーを搭載したヴィンテージテレキャスター。
メインの歪みはBoss DS-2
ラリー・ミュリンズ (Larry Mullins) – ドラム、メロトロン、パーカッション、ヴィブラフォン、ボーカル (1995年-1996年、2019年-)
ベルリン在住
ヨーヨー・ローム (Yoyo Röhm) – ベース、ダブルベース、キーボード、ボーカル (2019年-)
ベルリン在住
ビル・リーフリン 準メンバー
ミニストリー、R.E.M, キングクリムゾンなどで活動
ジラ曰く7人目のメンバー,名誉のスワン
ジラやスワンズのことを好いているが、ジラはめちゃくちゃ付き合いづらいやつだって定評も聞くとのこと
Great AnnihilatorからThe Glowing Manまで参加し
Angels of Light “New Mother” “We are him”
マイケルジラ名義の”Drainland”にも参加している
2020年3月24日死去 59歳であった。
旧メンバー
ダン・ブラウン (Dan Braun) – ベース (1982年)
ビル・ブロンソン (Bill Bronson) – ベース (1995年-1997年)
ハリー・クロスビー (Harry Crosby) – ベース (1984年)
過激でたくましい、怪力で知的な人物だったよう
2013年イギリスにて死去
ダミエル・ガリ=ドゥアニ (Daniel Galli-Duani) – サックス (1982年)
1st EP 『Swans』
ロナルド・ゴンザレス (Ronaldo Gonzalez) – ドラム (1986年-1987年)
スー・ハネル (Sue Hanel) – ギター (1982年)
ジャーボウ (Jarboe) – キーボード、ボーカル、ピアノ (1984年-1997年、2012年) 1985年 Time is Moneyでスクリームとクレジット
Skin, World of Skinのメンバーでもある。
ジラのパートナーでもあった。元々はジャーナリストとしてジラのインタビュアだった。
2012″The Seer”では2曲バックボーカルで参加している
ジョナサン・ケイン (Jonathan Kane) – ドラム (1982年-1983年)
サーカスモルト〜Filthレコーディング時まで
LaMonte Young, Rhys Chatham, Dave Solider, Art Kaneで活動
アルギス・キジス (Algis Kizys) – ベース (1986年-1995年)
モジョ (Mojo) – パーカッション、テープ・ループ (1982年)
Don Bolles -ドラム
元Germsのドラマー
Little Clipples時にプレイ
サーストン・ムーア (Thurston Moore) – ベース (1982年) 言わずと知れたソニックユースのフロントマン
1982年当時ソニック・ユースはNYのイーストヴィレッジにあったスワンズのリハーサル場所でリハをしていた。タイプライターで書きほったらかしにしていた歌詞をジラの許可を得て1983年デビュー作Confusion is Sex収録の“The World Looks Red”の歌詞に使用した。
1982年秋に「The Savage Blunder」と称した合同USツアーを行い
サーストンが主宰するエクスタティック・ピースではジラとリディア・ランチの朗読作品『ハード・ロック』 をリリースした
2014年時にはソニックユースは4人の集合体、スワンズは結局マイケルジラのソロだからねとインタビューで答えている
ロリ・モシマン (Roli Mosimann) – ドラム (1983年-1984年)
ワイズブラッドのメンバーでありザ・ザ、フェイスノーモア、フリクションのプロデューサー
1st Album 『Filth』のレコーディングに参加
Filthのアルバムジャケットで有名な歯は彼の歯科助手であった彼女からインスパイアされたよう
アイヴァン・ナヘム (Ivan Nahem) – ドラム (1982年、1986年)
テッド・パーソンズ (Ted Parsons) – ドラム (1985年-1987年)
ボブ・ペゾーラ (Bob Pezzola) – ドラム、ギター (1982年-1983年)
1st EP 『Swans』
ヴィニー・シグノレリ (Vinnie Signorelli) – ドラム (1991年-1992年)
クリント・スティール (Clint Steele) – ギター (1990年-1997年)
ジョン・テスラー (Jon Tessler) – ベース、パーカッション、テープ・ループ (1982年)
ジェニー・ウェイド (Jenny Wade) – ベース (1991年)
スタジオ作/ライヴに参加した「メンバー」はこれまでに50人を越えるともされる
To be Kind Guset
Jennifer Church – background vocals on “She Loves Us” and “A Little God in My Hands”
John Congleton – piano
Rex Emerson – mandolin
Daniel Hart – violin
Julia Kent – strings and string arrangement on “Some Things We Do”
Sean Kirkpatrick – piano, harpsichord, synthesizer
Little Annie – vocals on “Some Things We Do”
Al Spx – background vocals on “Bring the Sun”
St. Vincent – background vocals on “Nathalie Neal”, “Bring the Sun”, “Screen Shot”, and “Kirsten Supine”
David Pierce – trombone
Evan Weiss – trumpet
John Congleton – recording, mixing
Doug Henderson – mastering
Bob Biggs – artwork
The Glowing Man Guset
Bill Rieflin – drums, piano, synth, Mellotron, bass guitar, electric guitar, vocals
Jennifer Gira – lead vocals on “When Will I Return?“
Okkyung Lee – cello on “Cloud of Unknowing”
Bach Norwood – double bass
Kaela Sinclair – backing vocals
Katrina Cain – backing vocals
Buffi Jacobs – cello
Daniel Hart – violin
Gerald Jones – mandolin, banjo
Stuart Mack – trumpet
Joakim Toftgaard – trombone
Rachel Woolf – flute
Leaving Meaning Guest
Chris Abrahams – piano, organ (“The Nub”, “Leaving Meaning”)
Tony Buck – drums, percussion (“The Nub”, “Leaving Meaning”, “Some New Things”)
Lloyd Swanton – double bass (“The Nub”, “Leaving Meaning”)
Anna von Hausswolff – choral vocals
Maria von Hausswolff – choral vocals
Ben Frost – electric guitar, vocals, synth
Baby Dee – lead vocal (“The Nub”)
Fay Christen – vocals (“The Nub”)
Ida Albertje Michels – vocals (“The Nub”)
Jennifer Gira – vocals
Jeremy Barnes – santur, hi-hat, fiddlesticks, accordion, engineering
Heather Trost – violin, viola, fiddlesticks, engineering
Dana Schechter – bass
Cassis Staudt – accordion, harmonium
Other contributors
Ingo Krauss
Peter Wright
Daniel Miller
Francesco Fabris
Howard Wuelfing
John Allen
Brandon Perry
Todd Cole
Paul A. Taylor
Jason LaFarge
幾度もの挫折を乗り越え不屈の精神で挑戦を続け、幾度の実験を重ねレコーディング通りにライブで演奏することを嫌い、ライブの中でさらに昇華させ常に進化を追い求める強い探究心と向上心を持つスワンズを私は心から尊敬しています。老いながらもレコーディング、リリース、ツアーと過酷なスケジュールの中、音楽を愛してやまない姿勢、生き様に深い感銘を受けています。また肝心の音楽も何かの存在を証明するかのような神々しさ、次元の違う何かを降臨させ人間の限界を毎度更新するような体験、体感するという言葉がふさわしい怒号の3時間ライブ。スワンズを読み解くということはある重要な音楽のジャンルの脈々と受け継がれてきた歴史を知り、一人の男が行き着いた境地を垣間見ることと同義だと思うのです。
個人的には好きな曲はBlood Promise, Bring The Sun, Cloud of Forgetting上げ出したらキリがないのだけれども
アルバムはMy Father Will Guide me up a Rope to the Sky, The Seer, To Be Kind, The Glowing Manの流れで聴くことをお勧めする。キャッチーでわかりやすいものを好む方はTo Be Kindだけでも是非聴いてもらいたい。私的ベストは2010〜2016の極地 The Glowing Manです!!!
Leaving Meaningは新生Swansのファーストアルバムという立ち位置だと思うので今後に期待している。